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ホブスンの帝国主義論の思想的背景

## ホブスンの帝国主義論の思想的背景

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経済状況

ホブソンは、19世紀後半から20世紀初頭のイギリスにおける経済状況を背景に、帝国主義を分析しました。当時のイギリスは、産業革命を経て世界経済を牽引する存在でしたが、国内では深刻な貧富の格差や過剰生産の問題を抱えていました。

ホブソンは、この過剰生産こそが帝国主義の根本的な原因であると考えました。国内市場が飽和状態に達し、過剰な資本と商品を抱えた資本家階級は、新たな投資先と市場を求めて海外進出を加速させたと彼は主張します。

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過剰貯蓄論

ホブソンの帝国主義論において重要な役割を果たすのが、「過剰貯蓄論」と呼ばれる考え方です。これは、資本家階級が労働者階級を搾取することによって生み出された余剰資本が、国内で投資しきれずに過剰に蓄積されるというものです。

ホブソンによれば、労働者階級は低賃金のために十分な購買力を持たず、国内市場は拡大を続けられません。結果として、資本家階級は過剰な資本を海外に投資せざるを得なくなり、これが帝国主義的な expansionへとつながっていくと彼は論じました。

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非経済的要因への着目

ホブソンは経済的な要因を重視しながらも、帝国主義を推進する非経済的な要因についても分析しています。彼は、資本家階級と結びついた政治家や軍人、知識人などが、自らの利益や野心を追求するために帝国主義政策を推進している側面を指摘しました。

具体的には、海外領土の獲得による権威や名誉の追求、軍需産業による利益の確保、国民国家の形成に伴うナショナリズムの高揚などが、帝国主義を促進する要因として挙げられます。

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倫理的な批判

ホブソンは、帝国主義が経済的な搾取だけでなく、被支配民族に対する人種差別や文化破壊をもたらすことを強く批判しました。彼は、帝国主義は道徳的に誤った行為であるばかりか、国際的な緊張を高め、戦争の危険性を増大させると警告しました。

そして、帝国主義を克服するためには、国内における経済の民主化を進め、労働者階級の生活水準を向上させることが必要であると主張しました。

これらの要素が、ホブソンの帝国主義論の思想的背景を形成しています。彼の分析は、後の時代の帝国主義研究に大きな影響を与え、現代においても重要な視点を提供しています。

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