ホッブズのリヴァイアサンの評価
リヴァイアサンとは
1651年に出版されたトーマス・ホッブズの著作です。書名は旧約聖書に登場する怪物レビヤタンに由来します。国家は人々を統治するために必要な絶対的な権力を備えた怪物のような存在であるとホッブズは主張しました。
思想と主張
この書物の中でホッブズは、自然状態における人間の生活は「万人の万人に対する闘争」であり、「恐怖に満ちた」ものであると論じています。これは、自然状態では道徳や正義、社会秩序などは存在せず、個々の人間は自分の生存と欲望の充足を最優先に行動するため、常に互いに争い、不信に満ちた状態にあるという意味です。
このような状況から脱却するために、人々は社会契約を結び、自らの自然権の一部を絶対的な権力を持つ主権者に譲渡することで、平和と安全を確保しようとするとホッブズは主張しました。主権者は、人々の安全と秩序を守るために、法律の制定と執行、紛争の解決、外敵からの防衛といった役割を担います。
歴史的背景
リヴァイアサンは、イングランド内戦(1642-1651)の真っ只中に書かれました。この内戦は、国王チャールズ1世と議会派との間で起こった政治的、宗教的な対立が原因でした。ホッブズは、この内戦を目の当たりにし、社会が混乱と無秩序に陥る様子を目の当たりにしました。
ホッブズは、このような無秩序な状態は、人々が絶対的な権威に服従しないために起こると考えました。彼は、リヴァイアサンの中で、強力な国家権力を持つ絶対君主制を支持し、それが社会の安定と秩序を維持するために必要であると主張しました。
影響
リヴァイアサンは、政治哲学の古典として、今日でも広く読まれています。ホッブズの思想は、後の啓蒙主義の思想家たちに多大な影響を与え、現代の政治思想、特に社会契約論、国家論、国際関係論などに大きな影響を与え続けています。