## ホッブズのリヴァイアサンの構成
###
第一部 人間について
第一部では、まず感覚、想像力、経験といった人間の認識能力のメカニズムを解明することから始めます。そして、言語、理性、科学、善悪の観念、情念といった人間の行動や思考の根幹をなす要素を、機械論的な視点と唯物論的な立場から分析していきます。
人間は快楽を求め、苦痛を避ける自己保存の本能に突き動かされる存在であるとホッブズは考えます。そして、この自己保存の欲求こそが、国家の成立を説明する上で重要な鍵となります。
###
第二部 国家について
第二部では、国家以前の人間の自然状態を考察します。自然状態では、全ての人間が自己保存と快楽追求のためにあらゆる権利を有し、他者を支配しようとするため、「万人の万人に対する闘争」の状態に陥ります。
この悲惨な状態から脱却するために、人々は理性に従い、自然権の一部を放棄して契約によって主権者であるリヴァイアサンを創造し、それに服従することを選びます。リヴァイアサンは絶対的な権力を持ち、人々に安全と秩序を提供することで、平和な社会を実現します。
###
第三部 キリスト教国家について
第三部では、聖書解釈に基づき、キリスト教国家のあり方を論じます。ホッブズは、世俗権力と宗教権力の分離を主張し、国家の安定のためには、宗教は世俗権力の統制下に置かれるべきだと考えました。
###
第四部 暗黒の国について
第四部では、誤った宗教観や迷信によって支配された「暗黒の国」を批判します。ホッブズは、カトリック教会の権威主義や聖書解釈の誤りを指摘し、理性に基づいた国家の必要性を改めて強調します。
以上が、ホッブズの主著『リヴァイアサン』の構成です。