## ペインのコモン・センスの発想
### 1776年1月に匿名で出版された「コモン・センス」は、比較的無名だったトーマス・ペインによって書かれました。
このパンフレットは、イギリスからのアメリカの独立を強く主張し、植民地時代の政治思想に大きな影響を与えました。では、ペインはどのような発想からこの影響力のあるパンフレットを執筆したのでしょうか？
### ペインの発想の背景には、当時の社会状況と彼自身の経験が大きく関わっていました。
### まず、18世紀後半のアメリカ植民地は、イギリスの支配に対して不満を募らせていました。
フレンチ・インディアン戦争後、イギリスは植民地に対する課税を強化し、これが植民地人の反感を買っていました。ペイン自身も、イギリスで不遇な生活を送った後、1774年にアメリカに移住したばかりでした。彼は、イギリスの支配体制の不平等さを身をもって経験していました。
### また、ペインは啓蒙主義思想の影響を強く受けていました。
ジョン・ロックの自然権論や社会契約説は、ペインの政治思想の根底にありました。「コモン・センス」の中でペインは、政府は人民の同意に基づいて設立されるべきであり、人民には抵抗する権利があると主張しました。
### ペインは、複雑な政治理論をわかりやすい言葉で一般大衆に伝えることに長けていました。
当時、政治論議はエリート層に限られていましたが、ペインは「コモン・センス」をパンフレットという形で出版することで、多くの人々に独立の正当性を訴えかけました。
### ペインは、「コモン・センス」の中で、独立の必要性を具体的な論拠を挙げて主張しました。
例えば、彼は、小さな島国であるイギリスが、広大なアメリカ大陸を支配するのは不自然であると論じました。また、ヨーロッパの戦争に巻き込まれることを避けるためにも、アメリカは独立すべきだと主張しました。
### これらの要素が複合的に作用し、「コモン・センス」はアメリカ植民地の人々に独立の機運を高める上で大きな役割を果たしました。