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ベーベルの婦人論を読む

ベーベルの婦人論を読む

1. アウグスト・ベーベルと彼の時代

アウグスト・ベーベル(1840-1913)は、ドイツの社会主義者、政治家、そして作家でした。彼はカール・マルクス、フリードリヒ・エンゲルスとともに、ドイツ社会民主党(SPD)の創設者の一人として知られています。19世紀後半から20世紀初頭にかけて、SPDは世界初の、そして最大の社会主義政党へと成長しました。ベーベルは、その過程において指導的な役割を果たし、SPDの理論的支柱として、また議会における党の指導者として活躍しました。

2. 「婦人論」の概要

ベーベルは、1910年に「婦人論」(Die Frau und der Sozialismus)を出版しました。この著作は、女性解放に関する包括的な分析を提供し、社会主義の枠組みの中で女性の抑圧と解放の道を論じたものです。ベーベルは、女性の地位を歴史的唯物論の観点から分析し、私有財産の出現とともに女性の従属が始まったと主張しました。彼はまた、資本主義社会における女性の二重の抑圧、すなわち資本家による階級的搾取と男性による性差別の犠牲になっていることを指摘しました。

3. 「婦人論」の内容

「婦人論」は、女性の解放を包括的に論じたものであり、幅広いテーマを扱っています。その内容は、大きく以下の3つの部分に分けられます。

* **第1部:女性の過去の地位**:ここでは、原始社会における女性の地位から、私有財産の発生、一夫一婦制の確立、そして資本主義社会における女性の状況までを歴史的にたどります。ベーベルは、歴史の各段階における女性の地位を分析し、その変化の要因を明らかにしています。
* **第2部:女性の現在の地位**:ここでは、当時の資本主義社会における女性の状況を、労働、教育、法律、性道徳など、さまざまな側面から具体的に描き出しています。ベーベルは、女性が直面する様々な差別や抑圧を告発し、その原因を分析しています。
* **第3部:女性の将来の地位**:ここでは、社会主義社会における女性の解放について論じられています。ベーベルは、私有財産の廃止、生産手段の社会化、そして家事労働の社会化などを通して、女性が男性と真に平等な立場を獲得できると主張しています。

4. 「婦人論」の意義

「婦人論」は、出版当時、大きな反響を呼びました。それは、女性解放の問題を社会主義の枠組みの中で体系的に論じた最初の著作の一つであり、その後の社会主義フェミニズムに大きな影響を与えました。また、この著作は、女性解放運動の重要なテキストとなり、多くの女性たちに読まれ、議論の的となりました。

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