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ベンサムの道徳と立法の諸原理序説の対極

## ベンサムの道徳と立法の諸原理序説の対極

ベンサムの功利主義に対する批判

ジェレミー・ベンサムの『道徳と立法の諸原理序説』(1789) は、功利主義の基礎を築いた著作として知られています。彼の主張は、「最大多数の最大幸福」という原則に基づき、道徳や法律を評価するものでした。しかし、この功利主義的な考え方には、当時から様々な批判が向けられてきました。

ベンサムと対照的な思想

ベンサムの功利主義と対照的な思想としては、以下のようなものが挙げられます。

* **義務論:** イマヌエル・カントの義務論は、行為の善悪を、その結果ではなく、行為に内在する道徳法則への conformity によって判断します。カントは、『道徳形而上学の基礎づけ』(1785) において、人間の理性に基づいた普遍的な道徳法則の存在を主張し、個人の幸福を最大化する功利主義的な考え方とは一線を画しました。

* **徳倫理学:** アリストテレスのニコマコス倫理学に代表される徳倫理学は、行為の善悪ではなく、行為者の character や徳を重視します。 良き行為とは、 virtuous な人間が行う行為であり、幸福は、徳を追求することによって得られると考えられています。

* **共同体主義:** 共同体主義は、個人主義的な功利主義とは異なり、共同体の価値観や伝統を重視します。 アラスデア・マッキンタイアの『After Virtue』(1981) などに見られるように、共同体主義は、個人の identity や道徳は、所属する共同体と切り離せない関係にあると主張します。

具体的な著作

これらの思想を代表する著作としては、以下のようなものが挙げられます。

* **イマヌエル・カント『道徳形而上学の基礎づけ』(1785)** : カントの義務論を体系的に説明した著作。道徳法則を「汝の行為の格率が、汝の意志によって、つねに同時に普遍的な立法の原理となるべきように行為せよ」という定言命法として表現し、人間の尊厳と autonomy を強調しました。

* **アリストテレス『ニコマコス倫理学』**: 古代ギリシャにおける徳倫理学の代表的な著作。幸福を人間の ultimate goal とし、理性に基づいた徳を培うことによって幸福に到達できると説いています。

* **アラスデア・マッキンタイア『After Virtue』(1981)** : 現代の共同体主義を代表する著作。道徳は、歴史的・社会的な文脈の中で理解されるべきであり、個人の権利を重視するリベラリズムを批判しました。

これらの著作は、ベンサムの功利主義とは異なる perspective から道徳や政治を論じており、『道徳と立法の諸原理序説』の対極に位置すると言えるでしょう。

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