## ベンサムの道徳と立法の諸原理序説と時間
###
ベンサムの功利主義における時間の扱い
ベンサムの功利主義は、「最大多数の最大幸福」を道徳の原則としています。 彼の主著『道徳と立法の諸原理序説』では、快楽と苦痛を人間の行動の動機付けとなる基本的な要素と捉え、 行為の善悪をその結果もたらされる快楽と苦痛の総和によって判断します。 この際、ベンサムは快楽と苦痛を強度、持続時間、確実性、近接性、多産性、純粋性、範囲の7つの次元から定量化しようとしました。
###
時間と快楽・苦痛の関係性
上記7つの次元のうち、「持続時間」と「近接性」が時間と直接的に関係しています。
* **持続時間:** ある行為によって生じる快楽や苦痛が長く続くほど、その価値は高まります。
* **近接性:** ある行為によって生じる快楽や苦痛がより早く実現するほど、その価値は高まります。
これらの要素を考慮することで、ベンサムは単に快楽や苦痛の量だけでなく、時間経過の影響も道徳的判断に取り入れようとしました。 たとえば、短期的には快楽をもたらす行為であっても、長期的には大きな苦痛をもたらすと予想される場合、ベンサムの功利主義においてはその行為は道徳的に問題があると判断される可能性があります。
###
時間と立法の関係性
ベンサムは、立法においても時間の要素が重要であると考えていました。 法律は、人々の行動に長期的な影響を与えるため、短期的な利益だけでなく、長期的な影響も考慮する必要があります。