ヘッセのシッダールタの原点
ヘッセ自身のインド体験
ヘルマン・ヘッセは、1911年にセイロン、インドネシア、インドなどを旅しました。この東洋旅行はヘッセに大きな影響を与え、「シッダールタ」の着想のきっかけになったと言われています。特に、インドの思想や宗教、そしてガンジス川の人々の生活は、ヘッセに深い感銘を与えました。
仏教思想への傾倒
ヘッセは若い頃からニーチェや仏教などの東洋思想に強い関心を抱いていました。 特に、苦悩や欲望からの解放を目指す仏教思想は、当時のヘッセ自身の精神的な危機と重なり、大きな影響を与えました。ヘッセは仏教経典を研究し、その思想を「シッダールタ」に取り入れています。
第一次世界大戦の影響
ヘッセは第一次世界大戦に衝撃を受け、人間存在の根源的な問題に深く向き合うようになりました。「シッダールタ」は、戦争という大きな時代のうねりの中で、ヘッセが模索した人生の意味や幸福の本質を表現した作品とも言えます。
ゲーテの「ヴィルヘルム・マイスター」の影響
ヘッセはドイツの文豪ゲーテを敬愛しており、特に教養小説「ヴィルヘルム・マイスター」から大きな影響を受けています。「シッダールタ」もまた、主人公が様々な人生経験を通して自己成長していく Bildungsroman(教養小説)の形式をとっており、ゲーテの影響が色濃く表れています。