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プーシキンの大尉の娘の感性

プーシキンの大尉の娘の感性

プーシキンの描く18世紀ロシアの感性

『大尉の娘』は、プーシキンが歴史小説という形で18世紀ロシアの社会とそこに生きる人々の姿を活写した作品です。作中には、当時のロシア社会に根付いていた様々な感性が描かれています。

名誉と忠誠心

主人公ピョートル・グリニョーフは、若い貴族の子弟として、父親から「名誉を守ること」を繰り返し説き聞かされて育ちます。グリニョーフはこの教えを忠実に守り、物語を通して困難な状況に立たされながらも、決して自らの名誉を汚すことはしません。これは、当時のロシア貴族社会において、名誉と忠誠心が非常に重要な価値観として位置付けられていたことを示しています。

身分制度への意識

当時のロシアは厳格な身分制度の下にありました。貴族であるグリニョーフと、農民の反乱軍の首領であるプガチョフの対比は、この身分制度が人々の意識に深く根付いていたことを浮き彫りにしています。しかし、プガチョフは粗野ながらもカリスマ性を持った人物として描かれており、身分を超えた人間としての魅力を備えていることがうかがえます。

愛と自己犠牲

グリニョーフとマーシャの愛は、身分差やプガチョフの乱という困難に阻まれながらも、純粋で強い絆として描かれています。マーシャは、愛するグリニョーフを守るため、自らの身危険を顧みずに皇后エカテリーナに直訴するという大胆な行動に出ます。これは、当時の女性が置かれていた弱い立場にもかかわらず、愛する人のために自己犠牲を厭わない強さを持ち合わせていたことを示唆しています。

自然描写と心情の投影

プーシキンは、物語の舞台となるロシアの広大な自然を、登場人物の心情と重ね合わせて描写しています。例えば、グリニョーフが吹雪の中で道に迷う場面は、彼の置かれている不安定な状況や内面の葛藤を象徴的に表現しています。このような自然描写を通して、当時のロシアの人々が自然と密接に関わりながら生活していたこと、そして自然の力に対する畏怖の念を抱いていたことが読み取れます。

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