## プーシキンのエウゲニー・オネーギンの思考の枠組み
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厭世観と倦怠感
エウゲニー・オネーギンは、人生に退屈し、幻滅した典型的な「余計者」として描かれています。彼は裕福な貴族階級の出身でありながら、社交界の空虚さにうんざりし、何事にも真の情熱を見出すことができません。この倦怠感は、彼の行動や人間関係に深く影響を与えています。
オネーギンは知的で教養のある人物として描かれていますが、その知識は彼に幸福をもたらすどころか、むしろ人生の無意味さを痛感させる結果となっています。彼は自分自身に価値を見出すことができず、周囲の人々に対しても冷淡で皮肉な態度をとることが多々あります。
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愛と自己中心性
オネーギンは、純粋で献身的な愛を捧げるタチヤーナからの手紙を拒絶してしまいます。これは、彼が愛という感情を理解していない、あるいは恐れていることを示唆しています。彼は自分の感情よりも、社会的な体裁や自身の快適さを優先してしまうのです。
皮肉なことに、タチヤーナを拒絶した後に、オネーギンは彼女への愛に目覚めます。しかし、時すでに遅く、タチヤーナは既に他の男性と結婚しています。この悲劇的な結末は、自己中心的な生き方を選んだオネーギンの末路を示唆していると言えるでしょう。
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社会からの疎外
オネーギンは、周囲の人々と深く関わることができず、常に孤独感を抱えています。彼は貴族社会の一員でありながら、その価値観や慣習に馴染むことができず、疎外感を募らせていきます。
彼の友人で詩人のレンズキーとの友情も、オネーギンの不用意な行動が原因で決闘によって終わりを迎えます。この出来事は、オネーギンが社会との繋がりを求めながらも、自らそれを壊してしまう矛盾した側面を浮き彫りにしています。