## プルードンの経済的諸矛盾の体系を面白く読む方法
プルードンの大著『経済的諸矛盾の体系、あるいは貧困の哲学』は、その難解さで知られています。しかし、いくつかのポイントを押さえることで、この本をより面白く、そして深く理解することができます。
1. プルードンの「弁証法的」思考に注目する
プルードンはヘーゲル哲学の影響を受け、独自の「弁証法」を展開しました。彼は、あらゆる現象は肯定と否定の矛盾を含んでおり、その対立と統合によって発展していくと考えたのです。
プルードンの議論を追う際には、彼がどのような矛盾を提示し、それをどのように展開させているのかに注目しましょう。例えば、彼は私有財産を肯定的に捉えながらも、同時にそれが不平等や貧困を生み出すと批判しています。この矛盾こそが、彼の議論の出発点なのです。
2. 当時の社会状況を背景に読み解く
『経済的諸矛盾の体系』が書かれた19世紀半ばのフランスは、産業革命の進展に伴い、資本主義が急速に発展していました。しかしその一方で、貧富の格差の拡大や労働者の窮状など、様々な社会問題も深刻化していました。
プルードンの思想は、こうした時代背景の中で生まれました。彼は、当時の社会主義者たちと同じように、資本主義の矛盾を鋭く批判し、新たな社会のあり方を模索していたのです。彼の主張を理解するためには、当時の社会状況や人々の抱えていた問題を理解することが不可欠です。
3. 他の思想家との比較を通して理解を深める
プルードンの思想は、マルクスやエンゲルスなど、後の社会主義思想家たちに大きな影響を与えました。しかし、プルードンはマルクス主義とは異なる独自の思想体系を築き上げています。
彼の思想をより深く理解するためには、マルクスやエンゲルス、あるいはサン＝シモンやフーリエといった他の社会主義思想家たちと比較してみるのも有効な方法です。彼らの思想と比較することで、プルードンの思想の独自性や革新性が見えてくるはずです。
4. プルードンの情熱を感じ取る
『経済的諸矛盾の体系』は、難解な文章で書かれているだけでなく、膨大な量の引用や注釈が含まれており、決して読みやすい本ではありません。しかし、読み進めていくうちに、そこには社会の矛盾を克服し、より良い世界を実現しようとするプルードンの熱い情熱が込められていることに気づくはずです。
彼の文章の奥底に秘められた情熱を感じ取ることができれば、『経済的諸矛盾の体系』は、単なる難解な古典ではなく、現代社会にも通じる重要なメッセージを持った書物として、私たちの前に姿を現すでしょう。