プルタークの英雄伝の選択
英雄の対比
プルタークは、並行伝記という形式で「英雄伝」を構成しています。これは、ギリシャとローマの著名な人物を一人ずつ組み合わせて、二人の人生と業績を対比させているのが特徴です。例えば、テーセウスとロムルス、アレクサンドロス大王とガイウス・ユリウス・カエサルなどが組み合わされています。
選択基準
プルタークが英雄伝の対象として誰を選んだのか、その基準は完全には明らかになっていません。しかし、いくつかの要素が推測されます。
* **同時代性:** 多くの場合、ギリシャとローマの英雄は同時代に生きており、類似した課題に直面していました。
* **性格と業績の類似点:** プルタークは、共通の性格特性、業績、または運命を持つ人物を選んだようです。
* **道徳的な模範:** 英雄伝には、読者に模範となる人物とそうでない人物を提示することで、道徳的な教訓を伝えようという意図がありました。
収録された英雄
「英雄伝」には、政治家、軍人、立法者など、さまざまな分野の英雄が登場します。ギリシャ側では、ソロン、テミストクレス、ペリクレス、アレクサンドロス大王などが挙げられます。ローマ側では、ヌマ・ポンピリウス、ファビウス・マクシムス、マルクス・クラトゥス、ガイウス・ユリウス・カエサルなどが挙げられます。
欠落した人物
「英雄伝」には、古代ギリシャやローマの重要な人物の一部が含まれていません。例えば、ソクラテス、プラトン、アリストテレスなどの哲学者や、ホメロス、ソフォクレス、エウリピデスなどの詩人は登場しません。これは、プルタークが政治や軍事の指導者に関心を持ち、彼らを道徳的な模範として提示することに重点を置いていたためと考えられます。