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プルタークの英雄伝の思想的背景

## プルタークの英雄伝の思想的背景

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古代ギリシャにおける伝記と歴史

プルタークの生きた時代、古代ギリシャにおいては、伝記と歴史は明確に区別されていませんでした。どちらも過去の著名な人物の生涯を通して、教訓や倫理的な模範を示すことを目的としていました。歴史家トゥキュディデスは歴史を「過去の出来事から未来への教訓を引き出すもの」と定義し、クセノポンはソクラテスの生涯を描いた「ソクラテスの思い出」の中で、彼の高潔な人格を称賛しています。こうした背景から、プルタークもまた、過去の偉人たちの生涯を通して、読者に倫理的な指針を提供しようと試みたと考えられます。

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ストア派哲学と道徳的模範

プルタークの思想には、ストア派哲学の影響が色濃く反映されています。ストア派は、理性に従った生き方と徳の実践を重視し、情熱や欲望に支配されない心の平静を目指しました。プルタークは、英雄たちの生涯を通して、ストア派的な理想像を体現する人物像を描写しています。例えば、彼はカトンの剛直な正義感や、デモスthenesの不屈の精神を称賛し、読者に彼らの生き方を模倣するように促しています。

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ローマに対するギリシャ人の誇り

プルタークは、ローマ帝国の支配下にあったギリシャに生まれました。彼はギリシャ文化の復興を願い、過去のギリシャの偉人たちの功績を称えることで、ギリシャ人の誇りを喚起しようとしました。「英雄伝」では、ギリシャとローマの英雄たちを対比的に描くことで、ギリシャの文化や政治の優秀性を強調しています。これは、当時のギリシャ人の民族意識の高まりを反映していると考えられます。

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