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プラトンの饗宴の分析

プラトンの饗宴の分析

エロス賛歌

「饗宴」は、アテネの悲劇詩人アガトンが自作の悲劇で勝利を収めた祝宴の席が舞台です。この祝宴で、参加者たちは「エロス(愛)」をテーマに順番にスピーチをすることを提案します。こうして、さまざまな人物による、愛についての多様な見解が展開されていくことになります。

まず、パウサニアスは、愛には天上的エロスと凡庸なエロスがあると主張します。前者は高潔な精神性を伴う愛であり、後者は肉体的な欲望に支配された愛です。続いて、医師のエリュキシマコスは、愛を自然界全体に作用する調和の力として捉え、節度と調和の重要性を説きます。

次に登場するアリストパネスは、人間はもともと球形をしていて完全な存在でしたが、神々にその力を恐れられ、二つに引き裂かれたと語ります。そして、愛とは、その失われた半身を求める切ない longing だと言います。

アガトンは、愛を最も美しく、最も幸福な神として賞賛します。彼は、愛は若々しく、繊細で、優美さに満ちていると述べます。

ソクラテスのスピーチ

ソクラテスは、マンティネイアの女預言者ディオティマの教えとして、愛の本質について語ります。ディオティマによれば、愛は神ではなく、不死と死滅の中間に位置する「精霊」であると言います。愛は、美しいものへの憧憬から生まれ、永遠の美を希求するものであり、その過程で、肉体的な美から精神的な美へと昇華していくとされます。

ソクラテスは、愛の究極の目的は、美そのものを知覚すること、つまり「イデアの美」を直観することであると語ります。そして、哲学することこそが、このイデアの美へと至る道であると説きます。

アルキビアデスの登場

饗宴もたけなわになった頃、酔ったアルキビアデスが現れ、ソクラテスへの激しい恋慕を告白します。アルキビアデスは、ソクラテスの肉体的な魅力と、その言葉の持つ魔力に心を奪われたと語ります。

アルキビアデスの登場は、それまでの高尚な議論とは対照的な、愛の現実的な側面を浮き彫りにします。

「饗宴」は、愛についての一つの結論を提示するのではなく、さまざまな視点から考察を深めることを通じて、その複雑さと奥深さを描き出す作品です。

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