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プラトンの国家と時間

## プラトンの国家と時間

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時間に対するプラトンの考え方

プラトンは、対話篇『ティマイオス』において時間を創造主デミウルゴスが永遠なるイデア界を模倣して創造したものであると述べています。

>「こうして彼は時間をつくった。それは永遠なるものの動く映像だからである。」(ティマイオス 37d)

この記述から、プラトンは時間を以下のように捉えていたことがわかります。

* **永遠なるイデア界の模倣としての時間**: プラトンにとって真に実在するのは、変化せず永遠不変のイデアであり、我々が経験するこの世界は、そのイデアを模倣した仮象の世界です。 時間もまた、永遠なるイデア界の動きを模倣したものであり、真の実在ではありません。
* **感覚的な世界における時間**: 時間は、天体の運行、昼夜の変化、そして人間の生老病死など、感覚的に経験できる現象と密接に関係しています。 プラトンは、これらの変化を認識することで、我々は時間を認識すると考えました。

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「国家」における時間

プラトンの主著である『国家』では、時間については直接的に論じられていません。 しかし、『国家』の中心テーマである理想国家の構築や、魂の三分割論、哲人王などの概念には、間接的に時間に対するプラトンの考え方が反映されていると解釈できます。

* **理想国家の持続性**: プラトンは、自身が構想する理想国家が、現実の世界において永続的に存在することはないと考えていました。 これは、現実世界が変化し続ける存在であり、永遠不変のイデアとは異なる性質を持つためです。 しかし、プラトンは、理想国家というイデアを追求すること自体に価値を認め、現実の政治における指針となることを期待していました。
* **教育と時間**: プラトンは、『国家』の中で、理想国家の指導者である哲人王を育成するための教育制度について詳細に論じています。 長期にわたる厳しい教育を通して、哲人王は、イデア界を認識できるようになり、正しい統治を行うための知恵を身につけることができます。 このように、プラトンは、人間が時間をかけて成長し、変化していくことを前提としています。
* **魂の不滅性**: プラトンは、『国家』を含む多くの対話篇において、魂の不滅性を主張しています。 肉体は死を迎えても、魂は永遠に存在し続けると考えました。 この思想は、現実世界における時間や変化を超越した、永遠なるイデア界の存在を前提としています。

このように、『国家』には時間に関する直接的な言及は多くありませんが、プラトンの思想を読み解く上で、時間という概念は重要な要素となっています。

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