## プラトンのメノンの関連著作
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ソクラテス以前の哲学者たち
プラトンの対話篇「メノン」では、ソクラテスが道徳の教えやすさについて疑問を呈する場面から始まります。この議論の背景には、ソフィストたちと呼ばれる思想家たちの存在がありました。ソフィストたちは、雄弁術や論理、修辞学などを駆使し、相対主義的な立場から伝統的な価値観や道徳観を批判しました。プロタゴラスやゴルギアスといったソフィストたちは、客観的な真理や絶対的な善は存在せず、すべては人間の主観や状況によって相対的に決まるという立場をとりました。
「メノン」においても、ソフィストたちの影響は色濃く見られます。メノン自身もソフィストの影響を受けた人物として描かれており、彼の主張はソフィスト的な相対主義の立場を反映しています。ソクラテスは、メノンとの対話を通じて、ソフィストたちの相対主義的な立場を批判し、真の知識や徳の重要性を説いていきます。
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プラトンの他の対話篇
「メノン」は、プラトンの初期の対話篇に位置づけられており、ソクラテスの探求と、徳の本質に関する議論が展開されています。「メノン」と関連の深いプラトンの他の対話篇としては、以下のような作品が挙げられます。
* **プロタゴラス:** ソフィストの代表格であるプロタゴラスとソクラテスの対話を描いた作品。「メノン」と同様に、徳の教えやすさや、徳と知識の関係性について議論が交わされます。
* **ゴルギアス:** ソフィストのゴルギアスを相手に、修辞学の本質や、真の政治家のあり方について議論する作品。「メノン」におけるソクラテスの議論と同様に、真の知識や技術の重要性を訴える内容となっています。
* **エウテュプロン:** 敬虔さ(piety)の本質について探求する作品。ソクラテスは、エウテュプロンとの対話を通じて、敬虔さの定義を問い詰め、表面的な理解ではなく、本質を見抜くことの重要性を示します。
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アリストテレスの倫理学
プラトンの弟子であったアリストテレスは、師の思想を受け継ぎつつも、独自の倫理学を展開しました。アリストテレスの倫理学において重要な概念である「徳」は、「メノン」においても中心的なテーマとなっています。
アリストテレスは、著書「ニコマコス倫理学」の中で、徳を「習慣によって獲得される、理性に従って行動する能力」と定義しました。彼はまた、「中庸」の重要性を説き、徳とは、過剰と不足の中間にある適切な状態であるとしました。
「メノン」では、徳は知識と同一視されるなど、アリストテレスの倫理学とは異なる点も見られます。しかしながら、徳の本質や、徳のある生き方を探求するという点において、「メノン」とアリストテレスの倫理学は深く関連しています。