## プラトンのティマイオスを読む
宇宙論
「ティマイオス」は、プラトンの後期対話篇の一つであり、宇宙の創造、自然世界の構成、そして人間の魂の性質について考察しています。この対話篇は、ソクラテス、ティマイオス、クリティアス、ヘルモクラテスという四人の人物によって展開されます。
ティマイオスは、宇宙が理性的で善なる創造主であるデミウルゴスによって創造されたことを主張します。 デミウルゴスは、永遠で不変なるイデア（形相）の世界をモデルとして、感覚的に知覚できる物質世界を創造しました。 この物質世界は、火、空気、水、土という四元素から構成されており、これらの元素は幾何学的な立体と結び付けられています。
人間の魂と肉体
ティマイオスは、人間の魂もまたデミウルゴスによって創造されたと説明します。 魂は、宇宙の構成要素と同じもの、つまり永遠のイデアと結びついており、肉体よりも上位に位置付けられます。 しかし、魂は肉体に閉じ込められることで、感覚的な欲望や快楽に囚われ、本来の理性的な能力を十分に発揮できなくなるとされています。
肉体は魂にとって一種の牢獄であり、魂の本来の目的は、肉体から解放され、イデアの世界へと回帰することです。 このためには、理性的な生活を送り、哲学的な探求を通じて魂を浄化することが必要であるとティマイオスは説きます。
影響と解釈
「ティマイオス」は、古代から中世、そしてルネサンス期に至るまで、西洋思想に多大な影響を与えてきました。 特に、宇宙の創造論、人間の魂と肉体の二元論、そして理性による魂の浄化といったテーマは、後の哲学、神学、科学の発展に大きな影響を与えました。
しかしながら、「ティマイオス」は難解な部分も多く、様々な解釈がなされてきました。 特に、デミウルゴスの存在や、イデアと物質世界の関係については、解釈が分かれるところです。 現代においても、「ティマイオス」は哲学的な考察の対象として、多くの研究者によって読み継がれています。