プラトンのティマイオスの世界
宇宙の創造主 デミウルゴス
ティマイオスは、宇宙が永遠に存在するのではなく、理性の神であるデミウルゴスによって創造されたと説いています。 デミウルゴスは、永遠で不変のイデア界をモデルとして、感覚的な物質世界を創造しました。彼は善なる存在であるため、可能な限り完璧な宇宙を創造しようとしました。
宇宙の構成要素
デミウルゴスは宇宙を創造するために、二つの構成要素を用いました。一つはイデア界から導かれた不変で永遠の「形相(エイドス)」であり、もう一つは感覚的な物質世界を構成する「質料(ヒュレー)」です。質料自体は形を持たない受動的な存在ですが、形相を受け入れることで具体的な事物となります。
時間と空間
ティマイオスにおいて、時間はデミウルゴスによって創造されたものであり、永遠のイデア界には存在しません。空間は「レセプタクル」と呼ばれ、形相と質料を結びつける媒介物として機能します。
魂と身体
人間の魂もまた、デミウルゴスによって創造されました。魂は世界魂を分割して作られており、不滅の存在です。身体は魂が一時的に宿る物質的な容器であり、死によって魂は身体から解放されます。
宇宙の構造
デミウルゴスは宇宙を球体状に創造しました。これは最も完全な形とされたためです。地球は宇宙の中心に位置し、太陽や惑星などの天体は地球の周りを円運動しています。
感覚と認識
ティマイオスは、人間の感覚は信頼できないものであり、真の知識は感覚ではなく理性によってのみ得られると説いています。感覚は物質世界からの影響を受けて変化するものであり、不完全なものです。
倫理的な含み
ティマイオスは、宇宙の創造神話を通じて、人間が善き生を送るための指針を示しています。デミウルゴスが宇宙を創造したように、人間もまた理性に従って秩序と調和を目指すべきだとされます。