ブルデューのディスタンクシオンの思考の枠組み
文化資本
ブルデューは、経済資本に加えて、文化資本も社会における階層構造を理解する上で重要な要素だと考えました。文化資本は、言語、知識、教養、美的感覚、ライフスタイルなどを含み、社会的に高く評価される文化を享受し、それを使いこなす能力を指します。
ハビトゥス
ハビトゥスは、個人が生まれ育った社会環境の中で無意識的に身につける、思考、行動、趣味、嗜好などの性向のことです。社会階層ごとに異なるハビトゥスが形成され、それが個人のライフスタイルや文化的な趣味・嗜好に影響を与えるとブルデューは考えました。
趣味の階層性
ブルデューは、文化的な趣味や嗜好は個人の自由な選択の結果ではなく、社会階層によって規定されていると考えました。高学歴で文化資本を豊富に持つ支配階級は、高尚な芸術や文化を好み、逆に労働者階級は、大衆的な娯楽を好む傾向があると指摘しました。
ディスタンクシオン（差異化）
ディスタンクシオンとは、社会階層間で文化的な趣味やライフスタイルによって差異化を図ることです。ブルデューによれば、支配階級は自らの優位性を示すために、他の社会階層とは異なる洗練された趣味やライフスタイルを追求します。一方、支配される側は、支配階級の文化を模倣することで社会的な上昇を目指そうとします。
象徴闘争
社会階層間の文化的な差異化は、象徴的な闘争として現れます。支配階級は、自らの文化を正当化し、他の文化を低俗なものとして排除しようとします。一方、支配される側は、自らの文化の正当性を主張し、支配階級の文化に抵抗しようとします。