フレーベルの人間の教育を読む
教育思想の原典に触れるということ
「フレーベルの人間の教育」は、近代教育の父とも呼ばれるフリードリヒ・フレーベルの主著であり、彼の教育思想の集大成ともいえる作品です。幼児教育の基礎を築いた人物として名高いフレーベルですが、彼の思想は幼児期だけに留まらず、人間形成全体にかかわる普遍的なものです。
フレーベルの思想の中心となる概念
本書を理解する上で重要なキーワードは、「自己活動」「遊び」「恩物」の３つです。
フレーベルは、子供には生まれながらにして神から与えられた内的な力、「神的生命」が備わっていると説きます。そして、教育とはこの内なる力を引き出し、育むことであると考えました。そのために重要となるのが「自己活動」です。子供自身が自発的に活動する中で、内面から湧き上がる衝動を表現し、創造性を発揮していくことをフレーベルは重視しました。
「遊び」は、子供が自己活動を最もよく表現する手段です。子供は遊びを通して、周りの世界を認識し、自己を表現し、創造性を育んでいきます。フレーベルは、遊びを子供の最も純粋な精神活動であり、神聖なものと捉えていました。
「恩物」とは、フレーベルが考案した教材です。球や立方体などの幾何学的な形をしたおもちゃや、粘土、積み木などが含まれます。子供はこれらの恩物を使って遊ぶことを通して、形や数、空間などの概念を自然と身につけていきます。
現代社会における意義
「フレーベルの人間の教育」は、19世紀に書かれた書物ですが、その内容は現代社会においても色褪せることはありません。詰め込み型の教育や画一的な教育が問題視される現代において、子供の個性や創造性を尊重し、自発的な学びを重視するフレーベルの思想は、改めて注目されています。
本書を読むことは、フレーベルの教育思想を深く理解するだけでなく、現代社会における教育のあり方や子供の成長について、改めて考えるきっかけを与えてくれるでしょう。