## フレーベルの人間の教育の原点
フレーベルの生い立ちと時代背景
フリードリヒ・フレーベル（1782-1852）は、ドイツの教育者、幼児教育の創始者として知られています。彼は、ドイツのテューリンゲン地方のオーバーバイスバッハという小さな村で、敬虔なルター派の牧師の家庭に生まれました。しかし、フレーベルは幼少期に母親を亡くし、継母との関係に苦悩した経験を持つなど、複雑な家庭環境で育ちました。
自然への深い畏敬の念
フレーベルが青年期を過ごした18世紀後半から19世紀初頭にかけてのドイツは、啓蒙主義やロマン主義の影響を強く受け、自然科学への関心が高まっていました。フレーベル自身も、自然科学、特に植物学に深い関心を抱き、自然の中に神の創造の力を見出していました。彼は、自然の中で過ごすことを通じて、子供たちが神の存在や自然の法則を直接体験し、感性を育むことができると考えました。
ペスタロッチとの出会い
フレーベルは、スイスの教育実践家ヨハン・ハインリヒ・ペスタロッチ（1746-1827）の教育思想と実践に大きな影響を受けました。ペスタロッチは、子供たちが自らの感覚経験を通して学び、発達していくことを重視した教育を実践していました。フレーベルは、ペスタロッチの学校で教師として働きながら、彼の教育方法を直接学び、実践しました。
「神の恩寵の表れ」としての子供
フレーベルは、子供一人ひとりを「神の恩寵の表れ」として捉え、子供には生まれながらにして成長・発達する力、すなわち「内在的な神性」が備わっているとしました。そして、教育の目的は、子供たちが自らの内面に潜むこの「内在的な神性」を自覚し、それを開花させることであると考えたのです。
遊びの教育的価値への着目
フレーベルは、ペスタロッチの影響を受けながらも、独自の幼児教育理論を構築しました。彼は、子供が自発的に行う「遊び」に注目し、遊びを「最も純粋で霊的な活動」と考えました。子供は遊びを通して、自分の内面にあるものを表現し、周りの世界を理解しようとします。フレーベルは、子供が自発的に遊びに熱中する姿の中に、内在的な神性が表れていると考え、遊びを教育の中心に据えました。
これらの要素が複雑に絡み合い、「フレーベルの人間の教育」の原点となっています。