フリードマンの資本主義と自由の原点
フリードマンの思想的背景
ミルトン・フリードマンの思想は、古典的自由主義、特にアダム・スミスに代表される自由放任主義経済学に深く根ざしています。彼は、政府の介入を最小限に抑え、個人の自由と市場メカニズムに基づく経済活動を重視しました。
シカゴ学派の影響
フリードマンは、シカゴ大学の経済学部の教授として、いわゆる「シカゴ学派」の中心人物として活躍しました。シカゴ学派は、市場メカニズムの効率性と政府の介入による弊害を強調し、フリードマンの思想形成に大きな影響を与えました。
ケインズ経済学への批判
1930年代の大恐慌を契機に、ジョン・メイナード・ケインズが提唱した政府による積極的な介入を重視するケインズ経済学が主流となっていました。しかし、フリードマンは、ケインズ経済学の有効性に疑問を呈し、政府の介入が市場メカニズムを歪め、かえって経済の不安定化をもたらすと批判しました。
「資本主義と自由」執筆の背景
「資本主義と自由」は、1962年、冷戦の最中に出版されました。当時のアメリカは、ソ連とのイデオロギー対立の中で、資本主義の優位性を示す必要に迫られていました。フリードマンは、本書において、経済的な自由と政治的な自由の密接な関係を論じ、自由市場経済こそが、個人の自由と繁栄を実現する最善のシステムであると主張しました。