## フリードマンの資本主義と自由に関連する歴史上の事件
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冷戦
ミルトン・フリードマンの「資本主義と自由」は、1962年、冷戦の真っ只中で出版されました。この時代背景は、同書の主張を理解する上で非常に重要です。当時、世界は資本主義陣営と共産主義陣営に二分され、互いのイデオロギーを巡って激しく対立していました。フリードマンは、自由市場経済こそが、政治的自由と経済的繁栄を最もよく保証するシステムであると強く主張しました。彼は、政府による市場への介入は、個人の自由を制限し、経済の効率性を阻害すると批判しました。
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ケインズ経済学の隆盛と衰退
「資本主義と自由」が出版された当時、経済学界はジョン・メイナード・ケインズの思想に大きな影響を受けていました。ケインズは、政府による積極的な財政政策と金融政策が、景気循環の安定化に不可欠であると主張しました。しかし、フリードマンはケインズ経済学を批判し、政府の介入はかえって経済の不安定化をもたらすと主張しました。彼は、市場メカニズムこそが、資源を最も効率的に配分できるとして、自由放任主義的な政策を支持しました。1970年代に入ると、スタグフレーションと呼ばれる経済現象が発生し、ケインズ経済学に対する疑問が生じ始めます。これは、フリードマンの主張に注目が集まるきっかけとなり、彼の思想は、サッチャー政権下のイギリスやレーガン政権下のアメリカなど、多くの国々に影響を与えることになります。
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新自由主義の台頭
フリードマンの「資本主義と自由」は、新自由主義と呼ばれる思想潮流の形成に大きな影響を与えました。新自由主義は、市場メカニズムへの信頼を基盤とし、政府の役割を最小限に抑え、自由貿易、規制緩和、民営化などを推進する思想です。1980年代以降、サッチャー政権やレーガン政権をはじめ、多くの国で新自由主義的な政策が採用されました。これらの政策は、経済成長とグローバリゼーションを促進する一方で、経済格差の拡大や社会福祉の縮小といった問題も引き起こしました。
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グローバル金融危機とその後
2008年に発生したグローバル金融危機は、新自由主義的な政策の限界を露呈するものでした。過剰な金融自由化が、世界的な金融危機の要因の一つと指摘され、フリードマンの主張に対する批判も高まりました。しかし、その後も、フリードマンの思想は、経済政策の議論において重要な参照点であり続けています。政府の役割、市場の自由、個人の責任といった問題は、時代を超えて議論され続けるテーマであり、「資本主義と自由」は、これらの問題を考える上で、今日でも多くの示唆を与えてくれます。