フィヒテの全知識学の基礎の案内
フィヒテの全知識学の基礎とは
ヨハン・ゴットリープ・フィヒテによって1794年に出版された『全知識学の基礎』は、ドイツ観念論の重要な著作とされています。カント哲学を批判的に継承し、独自の主観的観念論を展開したフィヒテの思想は、後のシェリングやヘーゲルにも大きな影響を与えました。
全知識学の基礎の内容
本書は、人間の意識の働きである「自我」を出発点とし、そこからいかにして客観的な世界が成立するのかを明らかにしようと試みています。フィヒテは、自我が自己自身を規定する活動を通じて、非自我としての対象を意識すると考えました。この自我と非自我の相互作用によって、世界は認識され、知識が成立するとされます。
重要な概念
フィヒテの哲学においては、以下の3つの概念が重要です。
* **自我(Ich)**: 意識の主体であり、自らを規定する活動を通じて世界を構成する。
* **非自我(Nicht-Ich)**: 自我に対する限界として現れる、客観的な世界。
* **絶対的自我**: 個別的な自我の根底にある、世界を創造する根源的な原理。
構成
『全知識学の基礎』は、以下の3つの部分から構成されています。
1. **理論的部分**: 自我と非自我の相互作用から、知識の成立を説明する。
2. **実践的部分**: 道徳法則や自由意志など、実践理性の問題を扱う。
3. **信仰哲学**: 絶対的自我を論じ、宗教の根拠を探求する。
影響と評価
フィヒテの哲学は、ドイツ観念論の展開に大きな影響を与え、シェリングやヘーゲルによって発展的に継承されました。また、フィヒテの思想は、哲学のみならず、倫理学、政治哲学、教育学など幅広い分野に影響を与えています。