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フィヒテの全知識学の基礎の批評

フィヒテの全知識学の基礎の批評

### 批判①:自我設定の根拠の不明瞭さ

フィヒテは、一切の前提なしに自我が自我自身を無条件に設定すると主張しました。しかし、この主張は、なぜ自我が自我自身を設定しなければならないのか、その根拠が不明瞭であるという批判があります。自我設定以前には何もないはずなのに、一体何が自我を自我設定へと駆り立てるのか、という疑問が残ります。これは、フィヒテの哲学における出発点の妥当性に関わる根本的な問題点として指摘されています。

### 批判②:非我の導出の不自然さ

フィヒテは、自我が自身を限定するために非我を設定すると主張しました。しかし、この非我の導出は不自然であるという批判があります。自我の中に非我の契機を見出すことは困難であり、フィヒテの論理は飛躍しているという指摘があります。また、そもそも絶対的な自我が、なぜ自己限定という形で非我を生み出す必要があるのかという疑問も残ります。

### 批判③:主観的観念論の限界

フィヒテの哲学は、自我を起点として世界を説明しようとする主観的観念論に分類されます。しかし、この立場は客観的な外界の実在を軽視しているという批判があります。フィヒテは、非我を自我の産物として位置づけることで、外界を自我の内的構成物として捉えています。しかし、この考え方は、我々の日々の経験や、自然科学的な知見と矛盾する部分も少なくありません。

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