## ピンカーの暴力の人類史の話法
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統計データと事例の併用
ピンカーは、自説を裏付けるために、膨大な量の統計データを使用しています。殺人事件の発生率、戦争による死者数、死刑執行数など、様々な指標を用いて、歴史的に暴力が減少してきたことを示しています。 しかし、ピンカーは統計データだけを提示するのではなく、具体的な事例も豊富に紹介しています。例えば、中世ヨーロッパの残虐な拷問や、現代におけるテロ行為の悲惨さを描写することで、読者に暴力の現実を突きつけ、統計データだけでは伝わりにくい感情的な側面も浮かび上がらせています。
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学際的なアプローチ
歴史学、心理学、経済学、生物学、政治学など、様々な学問分野の知見を総合的に用いている点も、ピンカーの話法の特徴です。例えば、進化心理学の観点から人間の攻撃性の起源を考察したり、経済学の理論を用いて戦争の原因を分析したりしています。このように、多角的な視点から暴力という複雑な問題にアプローチすることで、読者に多面的で奥行きのある理解を提供しようと試みています。
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明快で平易な文章
専門性の高い内容を扱っているにもかかわらず、ピンカーの文章は非常に明快で読みやすい点が挙げられます。専門用語を必要以上に使用せず、たとえ話やユーモアを交えながら、読者に分かりやすく語りかけるようなスタイルで書かれています。これは、学術的な読者だけでなく、一般の読者にも広く訴えかけ、自説を理解してもらおうという意図の表れと言えるでしょう。