ヒルファーディングの金融資本論の技法
マルクスの資本論の継承と発展
ヒルファーディングは、マルクスの『資本論』を理論的基礎としています。特に、価値法則、剰余価値論、資本蓄積論などを継承し、自らの理論構築に活用しています。
歴史的な分析方法
ヒルファーディングは、資本主義の発生から金融資本主義の段階に至るまでの歴史的な発展過程を分析しています。これは、単に理論的な抽象論ではなく、具体的な歴史的事実を踏まえた上で、金融資本の特質を明らかにしようとする試みです。
抽象から具体への方法
ヒルファーディングは、マルクスの方法と同様に、「抽象から具体へ」という方法を用いています。まず、商品、貨幣、資本などの基本的な経済範疇を分析し、そこから信用、銀行、株式会社などのより複雑な金融資本主義の諸現象を解明しようと試みています。
統計資料の活用
ヒルファーディングは、自らの理論を裏付けるために、当時のドイツを中心とした統計資料を幅広く活用しています。これは、彼の分析に説得力と現実性を付与しています。
金融資本概念の導入
ヒルファーディングは、銀行資本と産業資本の融合によって形成される新しい資本形態として、「金融資本」という概念を導入しました。これは、資本主義の新たな発展段階を特徴づける重要な概念として、後の経済学にも大きな影響を与えました。
独占の分析
ヒルファーディングは、金融資本主義においては、独占が不可避的に進行すると分析しました。彼は、カルテル、シンジケート、トラストなどの独占形態を詳細に分析し、その経済的・社会的影響について論じています。