ヒルファーディングの金融資本論の企画書
企画概要
**1. 企画の背景と目的**
19世紀末から20世紀初頭にかけて、資本主義経済は新たな段階へと突入しつつありました。独占資本の形成、銀行と産業の融合、帝国主義の台頭といった現象が顕著となり、従来の経済学では説明できない問題が山積していました。
そこで、これらの新たな現象をマルクス経済学の立場から解明し、資本主義の将来像を展望することを目的とします。
本書で扱う予定の内容
**1. 金融資本の概念と特徴**
* 従来の銀行資本と産業資本の区別を超えて、両者が融合した新たな資本形態として「金融資本」を定義します。
* 金融資本は、株式所有、企業融資、取締役会の掌握などを通じて、経済全体に対する支配力を増大させていることを明らかにします。
**2. 金融資本の形成メカニズム**
* 資本集中と独占の進展が、金融資本を生み出す土壌となっていることを分析します。
* 銀行の役割が、単なる資金仲介から、企業の支配、合併・買収の推進へと変化していることを示します。
**3. 金融資本と帝国主義**
* 金融資本は、国内市場の限界を超えて、海外進出を積極的に推し進めることを明らかにします。
* 植民地獲得競争、国際的な資本輸出、帝国主義戦争など、当時の世界情勢を金融資本の観点から分析します。
本書の構成(予定)
**第一部:貨幣の資本への転化**
* マルクス経済学の基本的な概念である価値、貨幣、資本を改めて説明します。
* 信用制度の発達と銀行の機能、株式会社の台頭について詳しく解説します。
**第二部:銀行資本**
* 銀行の業務内容、銀行資本の性格、銀行間の競争と集中について分析します。
* 銀行資本と産業資本との関係を考察し、両者の融合へと向かう傾向を明らかにします。
**第三部:金融資本**
* 金融資本を、銀行資本と産業資本の融合体として定義し、その特徴を詳細に分析します。
* 金融資本による経済支配の形態、金融資本の国際的な展開について考察します。
**第四部:金融資本の帝国主義**
* 金融資本の過剰蓄積と海外進出の必要性について論じます。
* 帝国主義の経済的な原因、植民地争奪戦、帝国主義戦争の背景を分析します。
**第五部:金融資本の崩壊と社会主義**
* 金融資本主義は、内部矛盾を抱え、必然的に崩壊へと向かうことを論じます。
* 金融資本主義に代わる新たな社会体制として、社会主義の可能性を展望します。