## パレートの社会学概論の発想
パレートの社会学概論における中心的概念
パレートの社会学概論の中心には、「論理的行為」と「非論理的行為」という対照的な概念が存在します。パレートは、人間の行為をこの2つのカテゴリーに分類することで、社会のダイナミズムを理解しようと試みました。
論理的行為と非論理的行為
パレートは、**論理的行為**を「客観的にも主観的にも行為者にとって目的と手段の間に論理的なつながりがある行為」と定義しました。端的に言えば、論理的行為とは、目的を達成するために合理的な手段を用いる行為です。
一方、**非論理的行為**は、客観的に見て目的と手段の間に論理的なつながりがない行為を指します。パレートによれば、人間の行為の大部分は非論理的行為であり、感情、信仰、習慣などの非合理的な要因によって動機付けられています。
残渣と派生
パレートは、非論理的行為をさらに分析し、「残渣」と「派生」という2つの要素に分けました。
**残渣**とは、人間の行動の背後にある、本能的で、変化しにくい、根本的な心理的傾向を指します。パレートは、人間の残渣を6つのクラスに分類しました。
* **第1クラス:** 組合せの衝動 (instinct for combinations)
* **第2クラス:** 集団維持の本能 (persistence of aggregates)
* **第3クラス:** 感情を表出する必要性 (need to manifest sentiments by external acts)
* **第4クラス:** 社会性 (sociability)
* **第5クラス:** 個人の完全性 (integrity of the individual and his appurtenances)
* **第6クラス:** 性的衝動 (sex)
**派生**とは、残渣を正当化し、社会的に受け入れられるようにするために用いられる、論理や合理性に見せかけた説明や理論です。パレートは、派生を4つのタイプに分類しました。
* **断言:** 単なる主張や力ずくの主張
* **権威:** 伝統、習慣、権威者への訴え
* **合意:** 感情や信念に基づく合意
* **口実:** 論理や証拠を装った、実際には感情や利害に基づく主張
エリートの循環
パレートは、「エリートの循環」という概念を用いて、社会における権力構造の変動を説明しました。パレートによれば、社会は常に支配するエリートと支配される大衆に分かれています。
エリートは、特定の残渣、特に「組合せの衝動」と「集団維持の本能」に優れているため、権力を握ります。しかし、時間の経過とともに、エリートは堕落し、支配力を失っていきます。
一方、大衆の中から、新しい残渣の組み合わせを持った新しいエリートが現れ、古いエリートと競争し、最終的には権力を奪取します。このエリートの循環は、歴史を通して繰り返される、避けられないプロセスであるとパレートは主張しました。