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バブッフの人民宣言の対極

バブッフの人民宣言の対極

エドマンド・バーク「フランス革命の省察」

フランソワ・ノエル・バブーフの「人民宣言」は、1796年に発表された革命的文書であり、フランス革命の理想である自由・平等・博愛を徹底的に追求し、私有財産の廃止と完全な平等社会の実現を訴えました。これは、急進的な社会変革と平等主義を強く主張するものでした。

一方、バブッフの「人民宣言」の対極に位置するものとして、しばしば挙げられるのが、アイルランド出身のイギリスの政治家・思想家であるエドマンド・バークの「フランス革命の省察」 (Reflections on the Revolution in France) です。1790年に発表されたこの著作は、フランス革命の展開に対する保守的な批判として、大きな影響を与えました。

バークは、「フランス革命の省察」において、フランス革命の急進的な思想と行動を厳しく非難しました。彼は、伝統、経験、漸進的な改革の重要性を強調し、フランス革命がこれらの価値を破壊し、無秩序と暴力をもたらしたと主張しました。

特にバークは、フランス革命が抽象的な権利と平等を掲げて、既存の社会秩序、宗教、慣習を破壊しようとしたことを批判しました。彼は、人間は抽象的な理論ではなく、歴史と伝統によって形成された具体的な共同体に属していると主張し、フランス革命の急進的な思想は人間の複雑な現実を無視していると批判しました。

また、バークは、フランス革命がもたらした政治体制を、経験と伝統を軽視した危険な実験と見なしました。彼は、政治は抽象的な理論に基づいて設計されるべきではなく、歴史的に積み重ねられてきた知恵と慣習に基づいて、漸進的に改革されるべきだと主張しました。

「人民宣言」と「フランス革命の省察」は、フランス革命に対する全く異なる視点を示しており、18世紀末から19世紀初頭にかけての政治思想の対立軸を象徴する存在となっています。

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