バタイユの呪われた部分の対極
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合理性と秩序を賛美する啓蒙主義
バタイユの「呪われた部分」は、理性や有用性といった概念を超えた、人間の根源的な過剰性に焦点を当てています。 これは、理性、秩序、進歩を重視する啓蒙主義の思想とは対照的です。
啓蒙主義は、18世紀のヨーロッパで起こった、理性と経験的知識を重視する知的・文化的な運動でした。 この運動は、迷信や偏見を克服し、理性に基づいた社会を築くことを目指しました。
啓蒙主義の思想家たちは、人間は理性によって自然を理解し、社会を改善できると信じていました。
代表的な啓蒙主義の思想家には、ジョン・ロック、ジャン=ジャック・ルソー、イマヌエル・カントなどがいます。彼らの著作は、政治、経済、教育など、社会のあらゆる側面に影響を与えました。
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社会の安定と調和を重視する儒教思想
バタイユが人間の暗部や過剰性に目を向けたのに対し、儒教思想は社会の秩序と調和を重視します。 儒教は、古代中国で孔子によって創始された思想体系であり、東アジアを中心に広まりました。
儒教では、五倫と呼ばれる人間関係(父子、君臣、夫婦、長幼、朋友)の秩序を保つこと、そして仁、義、礼、智、信といった徳目を身につけることが重要視されます。 これらの徳目は、個人と社会の双方を安定させ、調和をもたらすとされます。
儒教は、個人の欲望や衝動を抑制し、社会規範に従うことを重視します。 これは、バタイユが「呪われた部分」で描いた、人間の根源的なエネルギーや過剰さとは対照的です。