## バタイユの「呪われた部分」とアートとの関係
バタイユにおける「呪われた部分」とは？
ジョルジュ・バタイユの主著の一つである『呪われた部分』は、人間の社会と経済、そしてそれらを規定する理性という概念に対して、徹底的な批判を展開した書です。 バタイユによれば、人間社会は「有用性」という原理に基づいて組織されており、生産活動や消費活動はすべてこの原理に従って行われます。
しかし、人間存在には、このような有用性の論理を超えた過剰なエネルギー、「浪費」への衝動が存在するとバタイユは主張します。この過剰なエネルギーこそが「呪われた部分」であり、それはエロティシズム、死、宗教、芸術といった非生産的な領域において顕在化します。
アートはどのように「呪われた部分」と関係するか？
バタイユにとって、アートは「有用性」の論理から逸脱し、「呪われた部分」を体現する privileged な活動です。 彼の著作において、アートは以下のような側面において「呪われた部分」と結びつけられています。
* **過剰性と浪費**: バタイユは、アートを「豪華」や「浪費」と結びつけます。彼にとって、アートは実用的な目的を超えた過剰なエネルギーの表現であり、その価値は有用性によっては測れません。
* **聖なるものとの接続**: バタイユは、アートを「聖なるもの」との接続点として捉えます。「聖なるもの」とは、日常的な世界の論理を超えた超越的な領域であり、アートは人間をこの領域へと導く媒介となるのです。
* **限界体験**: バタイユは、アートを限界体験、特にエロティシズムや死と結びつけます。彼にとって、アートは人間の根源的な衝動や不安と向き合い、それを表現する手段となります。
* **超越と反転**: バタイユは、アートを既存の秩序や価値観を転覆させる力を持つものとして捉えます。彼にとって、アートは「呪われた部分」を通じて、既存の社会システムや理性主義的な思考を批判し、新しい世界観を提示する可能性を秘めているのです。
これらの側面から、バタイユにとってアートは単なる娯楽や美的体験を超えた、人間存在の根源的な問題に関わる重要な活動であることがわかります。