ハーヴェイの資本の限界の面白さ
資本主義の矛盾に鋭く切り込む視点
デヴィッド・ハーヴェイの著書「資本の限界」は、マルクスの「資本論」を現代的に解釈し、資本主義社会における資本蓄積の限界と、その矛盾がもたらす危機について考察したものです。難解なことで知られる「資本論」を、地理学や都市計画といった独自の視点から読み解き、現代社会の諸問題に結びつけている点が、本書の大きな魅力と言えるでしょう。
空間と時間の概念を取り入れた分析
ハーヴェイは、「資本論」の解釈に空間と時間の概念を導入することで、資本主義のダイナミズムと危機の本質を浮き彫りにしています。資本は、利潤を求めて絶えず移動し、新たな市場や投資先を求めて世界中を駆け巡ります。この資本の運動が、都市の開発、国家間の関係、環境問題などに大きな影響を与えていることを、ハーヴェイは具体的な事例を交えながら明らかにしています。
現代社会への鋭い洞察力
「資本の限界」は、1970年代の資本主義の危機を分析した書ですが、その洞察は現代社会にも通じるものがあります。グローバリゼーション、金融危機、格差の拡大など、現代社会が抱える問題は、資本主義の矛盾がより深刻な形で現れたものと言えるでしょう。ハーヴェイの分析は、これらの問題の本質を見抜き、解決策を探るための重要な視点を提供してくれます。
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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。