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ノイマンの大衆国家と独裁の選択

## ノイマンの大衆国家と独裁の選択

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ノイマンの主張

カール・シュミットと並び、20世紀前半のドイツの政治思想を代表する人物の一人であるカール・フリードリヒ・ノイマン(1894-1984)は、ワイマール共和国期において議会制民主主義擁護の論陣を張った法学者・政治学者として知られています。しかし、ナチス政権の台頭を経験したのち、ノイマンは従来の議会制民主主義論の限界を痛感し、その反省に基づいた新たな政治理論を模索するようになりました。

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大衆国家と独裁

ノイマンは、著書『ビーマル共和国――危機の構造分析』(1930年)の中で、ワイマール共和国崩壊の要因を分析し、近代社会における「大衆国家」の出現という新たな現象に着目しました。ノイマンによれば、大衆国家とは、政治参加の拡大、社会の複雑化、マスメディアの発達などを背景に、従来の政治制度では対応しきれないほどの巨大な規模と複雑さを持ち合わせた国家を指します。

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ノイマンの選択

ノイマンは、このような大衆国家において、従来型の議会制民主主義は機能不全に陥りやすく、かえって独裁への道を準備してしまう危険性を孕んでいると論じました。彼は、大衆社会における不安定性や大衆の政治的無関心、扇動への弱さなどを指摘し、これらの要素が独裁を生み出す土壌となると考えました。

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ノイマンの苦悩

ノイマンは、独裁を望ましいものとは考えていませんでした。しかし、大衆国家という新たな現実を前に、従来の議会制民主主義を無条件に擁護することもできませんでした。彼は、大衆国家における民主主義の実現可能性と、独裁を防ぐための有効な政治体制について、生涯にわたって苦悩し続けたのです。

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