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ニーブールのローマ史の周辺

## ニーブールのローマ史の周辺

バルトホルト・ゲオルク・ニーブールについて

バルトホルト・ゲオルク・ニーブール(Barthold Georg Niebuhr, 1776-1831)は、ドイツの歴史家です。デンマークのコペンハーゲンに生まれ、キール大学で学びました。1810年からベルリン大学でローマ史の教授を務め、近代的な歴史学の基礎を築いた人物の一人とされています。

『ローマ史』について

ニーブールの主著である『ローマ史』(Römische Geschichte)は、1811年から1832年にかけて出版されました。本書は、伝説や伝承が混在していた古代ローマの初期の歴史を、文献学や碑文などの史料批判に基づいて実証的に再構成しようと試みた画期的な著作です。

ニーブールは、従来の歴史記述において史実として扱われていた王政ローマや初期共和政ローマに関する記述の多くを伝説と断定し、史料的に裏付けられる範囲で歴史を再構成しようとしました。その過程で、ローマ史研究に文献学的手法を導入し、後世に大きな影響を与えました。

しかし、ニーブール自身も史料の解釈において独創的な説を多く提唱しており、その全てが今日においても受け入れられているわけではありません。例えば、ローマの氏族社会に関する彼の解釈は、その後の研究によって修正が加えられています。

『ローマ史』は未完に終わっており、ニーブールはローマ史の共和政初期までしか記述することができませんでした。

『ローマ史』の影響

『ローマ史』は、19世紀の歴史学に多大な影響を与えました。ニーブールの文献学的手法は、多くの歴史家によって受け継がれ、近代的な歴史学の発展に貢献しました。

また、『ローマ史』は、ドイツの歴史主義(Historismus)と呼ばれる歴史観の形成にも影響を与えました。歴史主義は、歴史を個別の時代や民族の精神によって規定されたものと捉え、客観的な歴史認識を否定する立場をとりました。ニーブール自身は歴史主義者ではありませんでしたが、彼の歴史叙述は歴史主義的な要素を含んでおり、結果として歴史主義の台頭を促すことになりました。

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