ニーチェの悲劇の誕生の関連著作
ギリシア悲劇論
* **アリストテレス『詩学』**: 西洋における最古の演劇論であり、特に悲劇論は、ニーチェが本書で展開する議論の重要な参照点となっています。アリストテレスは、悲劇を「悲哀と恐怖を通してこれらの感情の浄化 (カタルシス) をもたらす模倣」と定義しました。
* **フリードリヒ・シュレーゲル『ギリシア文学史』**: ロマン主義文学を代表する批評家フリードリヒ・シュレーゲルは、本書の中で古代ギリシアを理想化し、その精神を現代に蘇らせようとしました。彼のギリシア悲劇に対する情熱的な論考は、後のニーチェにも影響を与えたと言われています。
音楽論
* **アルトゥル・ショーペンハウアー『意志と表象としての世界』**: ショーペンハウアーは、本書において、世界の本質を「意志」と捉え、芸術、特に音楽は、その意志の苦悩から一時的に解放してくれるものだとしました。ニーチェは、初期においてショーペンハウアーの影響を強く受けており、『悲劇の誕生』における音楽と悲劇の関係についての考察は、ショーペンハウアーの思想と深く結びついています。
* **リヒャルト・ワーグナー『芸術と革命』『未来の芸術作品』**: ニーチェは、ワーグナーの音楽に深く感銘を受け、彼の音楽をギリシア悲劇の精神の復活と見なしていました。ワーグナー自身も、ギリシア悲劇を理想とし、総合芸術作品を目指していました。これらの著作は、ワーグナーの芸術観を理解する上で重要であり、ニーチェの『悲劇の誕生』との関連性を考える上で欠かせません。
古代ギリシア研究
* **ヨハン・ヨアヒム・ヴィンケルマン『古代ギリシア史』**: 19世紀を代表する歴史家ヴィンケルマンは、古代ギリシアを理想的な時代と捉え、その芸術、文化、社会を詳細に研究しました。彼の研究は、19世紀のヨーロッパにおけるギリシア文化への関心の高まりに貢献し、ニーチェのギリシア悲劇への関心にも影響を与えたと考えられます。
* **ヤーコプ・ブルクハルト『イタリア・ルネサンスの文化』**: ブルクハルトは、本書で、ルネサンス期における古代文化の復興を描くと同時に、その光と影を冷静に分析しました。ニーチェは、ブルクハルトの歴史観に影響を受けたとされており、『悲劇の誕生』における古代ギリシア文化に対する視点は、ブルクハルトの洞察と共通する部分が見られます。