ニーチェのツァラトゥストラかく語りきの対極
ツァラトゥストラの教え
ニーチェの『ツァラトゥストラかく語りき』は、預言者ザラストロが山での孤独な瞑想から下山し、人々に「超人」への道を説くという物語形式をとった哲学書です。
ツァラトゥストラの教えは、伝統的な道徳や価値観、特にキリスト教の否定を基調としています。彼は「神は死んだ」と宣言し、人々に自らの意志と力で「超人」となるよう訴えかけます。
主要な概念として、「力の意志」、「永劫回帰」、「超人」などが挙げられます。
– 力の意志: 世界の根源的な力であり、生命の力そのものを指します。
– 永劫回帰: 時間は直線的ではなく円環状であり、同じことが永遠に繰り返されるという思想。
– 超人: 既存の価値観を超越し、自らの意志と力で生きる新しい人類像。
対極に位置する思想
ツァラトゥストラの思想は、キリスト教的な価値観、特に自己犠牲、謙虚、弱者への同情といった考え方に真っ向から対立します。
これらの価値観を体現している歴史的名著として、例えば以下のような作品が挙げられます。
– **聖書(特に新約聖書)**: キリスト教の根本聖典。イエスの生涯と教えを通して、愛、赦し、自己犠牲といった価値観を説いています。
– **トルストイ『戦争と平和』**: ナポレオン戦争を舞台に、人間の精神的な成長と愛の重要性を描いたロシア文学の傑作。
– **ガンディー『獄中からの手紙』**: インド独立の父マハトマ・ガンディーが獄中から送った書簡集。非暴力主義、真実への固執、愛と赦しを説く。
これらの作品は、いずれもツァラトゥストラとは対照的に、共同体への貢献、他者への愛と献身、そして自己犠牲を重視しています。