ニーチェのアンチ・クリストの企画書
執筆の背景
1888年は、ニーチェにとって「生産の火山」と呼ぶべきほど、多くの著作を執筆した年でした。7月には「偶像の黄昏」を、9月には「ワグナーの場合」を、そして11月には自伝である「この人を見よ」を完成させています。これらの著作群は、それ以前にニーチェが思索し、執筆してきた内容を総括し、これからの新しい哲学の夜明けを告げるものでした。
本書の目的
本書「アンチ・クリスト」は、これまでの西洋文明を支配してきたキリスト教の道徳を批判的に検証し、人類にとって真の幸福をもたらす新しい価値観を提示することを目的とします。
構成案
本書は、全62節で構成され、章立ては行いません。これは、既存のキリスト教的な価値観による解釈を拒否し、読者自身にニーチェの思想を直に解釈させるためです。各節では、キリスト教の教義、教会の組織、キリスト教の歴史、そしてキリスト教が西洋文明に与えた影響などについて、鋭い批判が展開されます。
想定読者
本書は、既存の価値観にとらわれず、新しい思想を渇望する読者を想定しています。特に、キリスト教の道徳に疑問を抱く人々や、西洋文明の現状に危機感を抱く人々にとって、大きな刺激となるでしょう。