## ナボコフの青白い炎の世界
「ナボコフの青白い炎」は、架空の詩人ジョン・シェイドの999行の詩「青白い炎」とその注釈で構成されています。
この作品は、現実世界の詩「青白い炎」と、その注釈者であるチャールズ・キンボートによる注釈と批評から成り立っています。キンボートはシェイドの元同僚で、シェイドの未亡人から原稿を託されたと主張していますが、彼の注釈にはシェイドの詩とは無関係な自身の過去や妄想が多分に含まれています。
詩「青白い炎」は、シェイドがガンで死期が近いことを悟り、自身の過去や人生の意味を振り返る内容です。
詩は4つの章に分かれており、それぞれ異なるテーマを扱っています。第一部はシェイドの幼少期と家族、第二部は彼の学者としてのキャリア、第三部は彼の結婚生活、第四部は死と再生についての考察が描かれています。
キンボートの注釈は、詩の内容を解説するだけでなく、シェイドの人生や作品に対する独自の解釈、さらには彼自身の妄想や空想の世界を広げていきます。
彼は注釈の中で、シェイドが自身の出生の秘密を知っていたと主張したり、シェイドの妻と不倫関係にあったとほのめかしたり、さらには自身がシェイドの詩の真の作者であるかのような記述さえ見られます。
小説内には、シェイドの詩、キンボートの注釈に加えて、シェイドの妻シビルからの手紙や、シェイドの詩の批評などが登場し、複雑な構成になっています。
これらの要素が絡み合い、読者は何が真実で何が虚構なのか、誰が信頼できる語り手なのかを見極めることが困難になります。