ドッブの価値と分配の諸理論
著者
モーリス・ドッブ
モーリス・ドッブは1900年生まれのイギリスの経済学者です。彼はケンブリッジ大学で経済学を学び、卒業後は同大学で教鞭をとりました。ドッブはマルクス経済学の権威として知られており、生涯にわたって資本主義経済の分析と批判に取り組みました。
ドッブの主要な著作である「価値と分配の諸理論」は、1937年に初版が出版されました。この著作は、アダム・スミスに始まる古典派経済学から、アルフレッド・マーシャルに代表される新古典派経済学、そしてカール・マルクスのマルクス経済学に至るまで、価値と分配に関する主要な経済理論を歴史的にたどり、批判的に検討したものです。
ドッブは本書において、労働価値説を擁護し、マルクス経済学の立場から資本主義経済における搾取のメカニズムを明らかにしようと試みています。彼は、新古典派経済学の限界分析は、資本主義経済の本質を捉えることができないと批判し、マルクスの資本論の方法に依拠した分析の重要性を主張しました。
「価値と分配の諸理論」は、マルクス経済学の入門書として、また経済思想史の重要な著作として、今日でも広く読まれています。