## ドッブの価値と分配の諸理論の評価
###
ドッブの価値と分配の諸理論の概要
モーリス・ドッブは、20世紀のイギリスを代表するマルクス経済学者の一人であり、「資本主義発展の研究」「経済思想史」「価値と分配の諸理論」などの著作を残しました。特に「価値と分配の諸理論」は、アダム・スミスに始まり、ダヴィッド・リカード、マルクス、アルフレッド・マーシャル、ジョン・メイナード・ケインズに至るまでの経済学説史を、価値と分配の問題に焦点を当てて批判的に検討したものです。
ドッブは、この著作の中で、古典派経済学からマルクス、そして近代経済学に至るまでの価値と分配に関する理論を、それぞれの理論の前提、論理構造、歴史的背景などを分析しながら、それぞれの理論の貢献と限界を明らかにしようと試みています。彼は、特に、労働価値説と限界効用理論の対立に焦点を当て、それぞれの理論の妥当性を比較検討しています。
###
ドッブの価値論
ドッブは、価値の源泉を労働に見出す労働価値説の立場を支持しました。彼は、古典派経済学における労働価値説を発展させ、マルクスの価値論を擁護しました。ドッブは、マルクスの価値論が、資本主義社会における搾取のメカニズムを明らかにする上で不可欠であると主張しました。
###
ドッブの分配論
分配の問題に関して、ドッブは、階級闘争が所得分配を決定する上で重要な役割を果たすと主張しました。彼は、マルクスの搾取論に基づき、資本家階級が労働者階級から剰余価値を搾取することによって利潤が生み出されると論じました。
###
ドッブの理論に対する評価
ドッブの「価値と分配の諸理論」は、経済思想史研究の古典として、多くの経済学者に影響を与えてきました。彼の著作は、経済理論の歴史的発展を理解する上で重要な視点を提供しています。