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ドストエフスキーの貧しき人びとと時間

## ドストエフスキーの貧しき人びとと時間

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時間と物語構造

「貧しき人びと」は、マカールとヴァルヴァラの往復書簡という形式で物語が進行します。手紙の日付が明記されているため、読者は作中の時間経過を具体的に追うことができます。これは、当時の小説において一般的な手法ではありませんでした。ドストエフスキーはこの手法を用いることで、登場人物たちの貧困による日々の苦しみ、そしてその中で移り変わる感情をより鮮明に描き出しています。

例えば、マカールは給料日やヴァルヴァラからの手紙を心待ちにする様子を通して、時間の流れを切実に感じている様子が描かれます。一方、ヴァルヴァラの手紙からは、過去の出来事や未来への不安が語られることが多く、彼女が過去と未来に囚われている様子が伺えます。

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時間と貧困

作中では、貧困によって時間の流れ方が異なることが示唆されています。マカールは日々の生活に追われ、時間的な余裕がありません。彼は一日一日をただ懸命に生き、未来について考える余裕はほとんどありません。一方、裕福な人物は時間を持て余し、退屈を紛らわすために贅沢な娯楽に耽ったり、他人を搾取したりします。

ドストエフスキーは、貧困によって人々の時間が奪われ、未来への希望を描くことさえも困難にさせている現実を浮き彫りにしています。

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