## ドゥオーキンの権利論の構成
###
権利の trumps
ドゥオーキンは、著書『Taking Rights Seriously』の中で、権利を「trumps」（切り札）と捉える独自の権利論を展開しました。これは、個人の権利が、政策目標や社会全体の利益よりも優先されるべきであるという考え方を示しています。
###
権利としての主張（claims as rights）
ドゥオーキンは、権利を「主張」（claims）として理解します。つまり、権利は単なる個人の利益ではなく、他者に対する正当な要求として機能すると考えます。彼は、権利を「強い評価的意味」を持つものと定義し、それが社会全体の利益よりも優先されるべき根拠を与えています。
###
原則と政策の区別
ドゥオーキンは、政治的議論における「原則」と「政策」を明確に区別します。原則とは、個人の権利や正義を表現するものであり、政策は、社会全体の利益や目標を達成するための手段です。彼は、権利を擁護するために、原則が政策よりも優先されるべきだと主張します。
###
司法における権利の役割
ドゥオーキンは、司法が個人の権利を保護する上で重要な役割を果たすと考えています。彼は、裁判官が法解釈を行う際には、単に既存の法規範を適用するのではなく、その背後にある道徳的・政治的な原則を考慮する必要があると主張します。この解釈方法を「構成的解釈」と呼びます。
###
権利の根拠
ドゥオーキンの権利論は、個人の尊厳という考え方に基礎を置いています。彼は、全ての人間が、平等な道徳的地位を持ち、自己決定権や自由を有していると主張します。権利は、この個人の尊厳を保障し、自己実現を可能にするための不可欠な要素として位置付けられます。