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トルストイの戦争と平和を読んだ後に読むべき本

トルストイの戦争と平和を読んだ後に読むべき本

ナポレオンに魅せられた男 ― スタンダールの「赤と黒」 

トルストイの描く壮大な叙事詩「戦争と平和」を読み終えた後、読後感はまさに圧倒でしょう。歴史のうねり、人間の愛憎、生と死の対比、それら全てが織りなす圧倒的なスケールに、しばらくは他の作品に手を出すのもためらわれるかもしれません。しかし、トルストイの壮大な世界観から一転、今度はフランス文学の巨匠スタンダールの描く濃密な心理描写の世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。

「赤と黒」は、ナポレオンに心酔する青年ジュリアン・ソレールの野心と挫折、そして愛憎を描いた作品です。身分上昇を夢見るジュリアンは、その野心を実現するために教会の道を選びますが、同時に、己の野心を隠して上流階級の女性に近づき、恋の駆け引きを繰り広げます。

「戦争と平和」が、ロシア貴族社会を舞台に、ナポレオン戦争という歴史的事件を背景に描かれたのに対し、「赤と黒」は、フランス復古王政期の閉塞的な社会の中で、一人の青年の内面を深く掘り下げていく作品です。スケールは対照的ですが、どちらも人間の欲望や野心の複雑さを描き出している点で共通しています。

「戦争と平和」で、登場人物たちの心理描写の巧みさに感銘を受けた方は、「赤と黒」でもスタンダールの鋭い筆致を楽しむことができるでしょう。特に、主人公ジュリアンの複雑な心理描写は圧巻で、彼の野心、焦燥、そして愛と憎しみに翻弄される姿は、読者の心を強く揺さぶることでしょう。

「戦争と平和」を読了した後に、フランス文学の名作に触れてみたい方、人間心理の奥深さを探求する作品を読みたい方におすすめの一冊です。

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