トルストイの復活に関連する歴史上の事件
### 1861年の農奴解放령
「復活」は、1861年の農奴解放令後のロシア社会を背景に描かれています。この改革は、ロシア帝国における農奴制を廃止し、農民に自由を与えることを目的としていました。しかし、改革は多くの問題を抱えていました。
例えば、農民は土地の所有権を得ることができず、代わりに高額な代償金を支払って土地を買い取る必要がありました。また、改革後の農村社会には、旧地主階級の経済的・社会的支配力が色濃く残り、農民の多くは貧困から抜け出せませんでした。
トルストイは、農奴解放令に熱心に取り組み、自ら農民に土地を分け与えようとしたこともありました。しかし、改革の失敗と、それが農村社会にもたらした混乱を目の当たりにし、深い失望を味わいます。「復活」では、この経験が色濃く反映されており、農奴解放令後のロシア社会の矛盾や農民の苦境がリアルに描かれています。
### 19世紀後半のロシアにおける社会主義運動の高まり
19世紀後半のロシアでは、農奴解放令後の社会不安を背景に、社会主義運動が急速に台頭しました。知識人や学生を中心に、マルクス主義やアナーキズムなどの思想が広まり、労働者の権利擁護や社会の変革を求める運動が活発化していきました。
トルストイ自身は、暴力革命を否定し、愛と非暴力による社会改革を訴える独自の思想を展開していました。しかし、彼は社会主義運動の広がりに強い関心を持ち、その理想と現実の両面に目を向けていました。
「復活」の主人公ネフリュードフ公爵も、社会主義思想の影響を受けて、自らの罪と向き合い、社会の不平等や不正を告発するようになります。作品には、当時の社会主義運動の熱気や、知識人たちの間で交わされた議論が反映されています。