デューイの論理学 探求の理論の話法
デューイの論理学における話法の特異性
ジョン・デューイは、20世紀のアメリカを代表する哲学者の一人であり、「プラグマティズム」と呼ばれる哲学運動の中心人物として知られています。彼は、従来の哲学が抱える問題点を克服するために、人間の経験や探求の過程に根ざした新たな哲学体系を構築しようと試みました。デューイの哲学は、認識論、倫理学、教育学、政治思想など、多岐にわたる分野を網羅していますが、その中でも特筆すべきは、探求の過程としての論理学を展開した点にあります。
探求と状況への埋め込み
デューイは、従来の論理学が、形式的な推論規則や命題間の関係に偏重してきたことを批判し、人間の思考が具体的な問題状況への対応として生じる点を重視しました。彼によれば、論理的な思考は、単なる抽象的な記号操作ではなく、不確実な状況の中で問題解決を図るための実践的な活動です。デューイは、この動的な思考プロセスを探求と呼び、彼の論理学は、この探求の過程を分析し、その構成要素と段階を明らかにすることを目的としています。
経験と反省の相互作用
デューイの論理学において、探求は、未解決の問題状況から出発します。人間は、日常生活の中で、様々な困難や疑問に直面しますが、これらの問題は、既存の知識や習慣では解決できないため、探求の契機となります。デューイは、この問題状況を、「不確定な事態」と表現し、これが探求の出発点となると主張しました。