デューイの経験と自然と作者
デューイと「経験と自然」の関係
ジョン・デューイ(1859-1952)は、アメリカを代表する哲学者、教育者、心理学者の1人であり、プラグマティズムの主要な提唱者として知られています。彼は、教育、芸術、政治、倫理など、多岐にわたる分野において影響力を持つ著作を数多く残しました。
その中でも、「経験と自然」(Experience and Nature)は、1925年に出版されたデューイの哲学の集大成とも言える重要な著作です。この本の中でデューイは、経験と自然の関係を中心に、認識論、形而上学、価値論、芸術論など、哲学の根本的な問題を包括的に論じています。
デューイにとって、「経験」とは、人間と環境との相互作用の過程を指します。彼は、伝統的な哲学が、経験を主観的な意識内容と客観的な外部世界に二分してきたことを批判し、経験を統一的なものとして捉え直そうとしました。
また、「自然」とは、デューイにとって、経験の源泉となるものを意味します。彼は、自然を機械論的な法則に支配された閉鎖系として見るのではなく、進化と創造性に満ちた開かれた過程として捉えました。
デューイは、「経験と自然」の中で、人間は自然の一部であり、自然と相互作用することによってのみ、真に理解し、価値を創造することができると主張しました。彼は、伝統的な哲学が陥ってきた二元論を超克し、経験と自然を統合的に理解することの重要性を説いたのです。