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デュマの二十年後から学ぶ時代性

## デュマの二十年後から学ぶ時代性

フランス絶対王政の隆盛と揺らぎ

「二十年後」は、前作「三銃士」から20年後の1648年から物語が始まります。
この時代は、フランスでは若きルイ14世が即位したものの、実権は宰相マザランが握り、
フランス絶対王政がまさに隆盛を迎えようとしていた時代でした。

しかし、その一方で、民衆は重税に苦しみ、貴族たちは自らの権力を
守ろうと王権に対抗する動きを見せ始めます。
作中では、フロンドの乱と呼ばれる反乱が描かれ、
民衆の不満や貴族たちの思惑が交錯するフランス社会の不安定さを
如実に表しています。

主従関係と友情の変容

「三銃士」では、「皆は一人のために、一人は皆のために」という合言葉のもと、
ダルタニャン、アトス、ポルトス、アラミスの四銃士は固い友情で結ばれていました。

しかし、「二十年後」では、それぞれの立場や置かれた状況の変化によって、
彼らの関係性は複雑化していきます。ダルタニャンは出世を望み、
アトスは息子との関係に悩み、ポルトスは贅沢な暮らしを求め、アラミスは聖職者として
生きる道を選びます。彼らの選択は、時代の変化とともに、
個人の欲望や野心が複雑に絡み合い、かつての友情が揺らいでいく様を
浮き彫りにしています。

宗教と政治の対立

17世紀のヨーロッパは、カトリックとプロテスタントの対立が激化していました。
フランス国内でも、マザランはカトリックを擁護する一方、
反乱を起こした貴族たちの中にはプロテスタントを支持する者もいました。

この宗教対立は、政治的な対立とも密接に関係しており、
「二十年後」では、アラミスが聖職者でありながら政治的な陰謀に
巻き込まれていく様子が描かれています。これは、宗教と政治が
複雑に絡み合った当時の社会状況を反映しています。

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