## デュマのモンテ・クリスト伯と人間
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復讐の是非
「モンテ・クリスト伯」は、無実の罪で投獄された主人公エドモン・ダンテスが、脱獄後、自分を陥れた者たちに復讐を果たす物語です。作中では、ダンテスの復讐劇を通して、復讐の是非が問われています。
ダンテスは、復讐によって一時的な快楽を得ますが、それは同時に彼自身の心を蝕んでいきます。一方、彼の復讐の対象となった者たちは、自らの行いの結果に苦しみ、改心する者も現れます。
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人間の多面性
「モンテ・クリスト伯」には、善人と悪人が明確に分けられているわけではありません。登場人物たちは、それぞれの立場や欲望、愛情や憎しみといった複雑な感情によって揺れ動き、多面的な姿を見せています。
例えば、ダンテスを陥れる張本人であるフェルナンは、野心のために友人を裏切りますが、同時にメルセデスへの一途な愛情を抱いています。また、ダンテス自身も、復讐に燃える冷酷な一面と、愛する者たちへの温かい心を持ち合わせています。
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社会の不条理
「モンテ・クリスト伯」は、19世紀フランス社会を舞台に、当時の社会における不条理を描いています。ダンテスは、貴族社会への嫉妬と保身のために無実の罪を着せられます。
また、作中には、貧困、格差、政治腐敗など、当時の社会問題が随所に描かれており、そうした状況が、登場人物たちの運命を翻弄していく様子が描かれています。