## ディルタイの精神科学序説の構成
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序論
序論では、自然科学の隆盛を背景に、歴史や文化を扱う学問である「精神科学」の独自の立場と方法を確立する必要性を説いています。ディルタイは、自然科学が対象とする自然と、精神科学が対象とする人間の精神とを区別し、それぞれに適した認識方法が存在すると考えました。自然科学が外的経験に基づく説明を目指す一方、精神科学は内的経験に基づき、精神の働きを理解することを目的とするとしました。
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第一部 精神科学の批判
第一部では、精神科学の基礎づけを試みた先行研究を批判的に検討します。まず、心理学を基礎に精神科学を構築しようとする試みを批判し、心理学だけでは歴史や文化を扱う学問の基礎づけには不十分だと主張します。次に、論理学や認識論を基礎とする試みも検討しますが、これらも精神科学の具体的な内容を捉えきれていないと批判します。
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第二部 精神科学の基礎づけ
第二部では、ディルタイ自身の精神科学の基礎づけが展開されます。ここでは、「生命」、「表現」、「理解」といったディルタイ独自の哲学的概念が重要な役割を果たします。
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第一章 生命の現実における精神
ここでは、人間の精神は自然から切り離された独立したものではなく、「生命」と不可分な関係にあると主張します。人間は、生命活動を通して外界と関わり、様々な経験を積み重ねることで、精神を形成していく存在だと考えました。
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第二章 表現における理解
人間の精神は、言語、芸術作品、行動など、様々な「表現」を通して客観化されると考えます。そして、精神科学は、この客観化された表現を解釈することによって、過去の文化や他者の精神を「理解」しようとする学問だと主張します。
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第三章 歴史的諸個人と人類の構成における理解
ここでは、歴史的文脈における「理解」の重要性を説きます。人間の精神は、歴史の中で形成され、他の個人や文化と相互作用しながら変化していくものです。そのため、ある特定の時代や文化における精神現象を理解するためには、その歴史的背景を考慮することが不可欠だとしました。